Project

グラフデータ分析と管理

グラフデータは,モノ間の関係性をモデル化することができ,様々な身近な応用に利用されています.例えば,モノとモノの関係性を知識グラフとして構造化することで,Web検索や商品の推薦システムに利用されています.他にも,分子データは原子をモノとし原子間のつながりを関係性として表現することで,同じデータ構造をもつ分子の検索などに活用できます.ソーシャルネットワークサービスや道路網なども,我々の生活に密接しており,グラフの大規模化と多様化が進んでいます.

グラフデータに対して,管理・検索・発見・予測という4つの観点から研究開発を進めています.具体的には,以下の技術を研究しています.
  1. 効率的な管理と高速な検索を可能にするデータベース技術
  2. 新たな知見を発見するデータマイニング技術
  3. 正確な予測を行う深層学習技術

例えば,グラフデータベースにおける問合せの高速化,グラフデータ内の関係性の強さや特徴的な関係性を抽出することで例外的な関係性やグラフデータ内の差別的なバイアスが含まれているかを評価することができる技術を開発しています.他にも,大規模なグラフデータに適用可能な深層学習技術や自動的にグラフ深層学習のモデルを選択できる技術を開発しています.

  • Tecnical university of Eindhoven(オランダ),Aarhus大学(デンマーク)と密に共同研究を実施しています.
  • グラフデータベースの標準化を目指す団体 Linked Data Benchmark Council (LDBC) に日本のアカデミアとして唯一参加(日本からは2023年3月時点で2名)しています.
  • さきがけ「信頼されるAI」領域において,"グラフデータの説明可能なバイアスに関する基盤技術の創出"というテーマで研究しています.
  • グラフニューラルネットワーク(GNN)学習用のWebサイト「グラフ道場」,GNNのチュートリアル動画を公開しています.

モバイル・時空間データ分析と管理

Internet of thingsや位置情報サービスの発展により,多くのデータが時間情報と位置情報をもつようになりました.例えば,人流や交通情報,レストラン情報,センサデータが代表的なデータです.現代では,意識せずとも多くの方が時空間データを扱ったサービスを利用しています.

モバイル・時空間データに対しても,管理・検索・発見・予測という4つの観点から研究開発を進めています.例えば,空間問合せ(ある範囲内にあるデータやある地点から最も近いデータの検索)の高速化や,分散並列処理の最適化,データ間の関連性を検出するデータマイニング,深層学習技術を活用したセンサデータ値の予測技術を開発しています.

また,モバイル・時空間データ分析では,道路ネットワークや距離に応じた相関性を捉えるためにグラフデータ分析の技術を適用することもできます.

  • 上海交通大学と密に連携しており,時空間データ分析技術を都市工学へ適用しています.

情報処理技術の異分野適用

データサイエンスや人工知能技術が幅広く世の中に広まっています.今まで情報処理技術を活用していなかった分野でも情報処理技術の関連研究に取り組まれており,多くの異分野の研究者と共同研究を実施しています. 例えば,化学や材料科学にて新たな有用な物質を発見することや,医学にて尿路結石患者のデータ分析や予測,哲学にてAIと社会応用の問題点,都市工学にて交通分析やエネルギー需要予測を行っています.情報処理のコア技術を幅広い分野に応用することで,情報学以外の新たな知識の習得と新に世の中に求められている技術の把握を通して,研究・開発すべき技術の考案に役立てています.



Fund

委託研究(代表者)

  • 科学技術振興機構 ASPIRE ``公平なグラフ分析のための包括的なフレームワーク''
      グラントナンバー: JPMJAP2328, 期間: 2024.2-2027.3, 予算額: 89,973 千円(直接経費:69,210 千円,間接経費:20,763 千円)
  • 科学技術振興機構 さきがけ ``グラフデータの説明可能なバイアスに関する基盤技術の創出''
      グラントナンバー: JPMJPR21C5, 期間: 2021.10-2025.3, 予算額: 52,000 千円(直接経費:40,000 千円,間接経費:12,000 千円)
  • 科学技術振興機構 ACT-I ``大規模グラフのための二部決定図に関する研究''
      グラントナンバー: JPMJPR18UD, 課題番号: 18070312, 期間: 2018.10-2020.3, 予算額: 3,600 千円(直接経費:3,000 千円,間接経費:600 千円)
  • 科学研究費補助金(代表者)

  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(一般)(代表者) ``深層学習を活用した自己最適化グラフデータベース管理システムの開発''
      課題番号: 23H03406, 期間: 2023.4-2027.3, 予算額: 18,590 千円(直接経費:14,300 千円,間接経費:4,290 千円)
  • 日本学術振興会科学研究費 若手研究 (代表者) ``グラフと点郡を特徴量とした深層学習による結晶性質予測の高精度化''
      課題番号: 20K19805, 期間: 2020.4-2021.3, 予算額: 4,290 千円(直接経費:3,300 千円,間接経費:990 千円)
  • 日本学術振興会科学研究費 若手研究(B) (代表者) ``曖昧グラフおよびストリーミンググラフにおける問合せに関する研究''
      課題番号: 15K21069, 期間: 2015.4-2019.3, 予算額: 4,030 千円(直接経費:3,100 千円,間接経費:903 千円)
  • 日本学術振興会科学研究費 特別研究員奨励費 (代表者) ``アドホックネットワークにおけるTop-k検索手法''
      課題番号: 12J00292, 期間: 2012.4-2014.3, 予算額: 180万円
  • 科学研究費補助金(代表者以外)

  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(一般)(分担者) ``分子グラフ機械学習を用いた有機太陽電池と有機トランジスタの学理融合と新規材料創製''
      課題番号: 23H02064, 期間: 2023.4-2027.3, 予算額: 2,400 千円, 代表者: 陣内 青萌 (大阪大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(C)(一般)(分担者) ``人工知能技術を活用した尿路結石の発症予測モデルの構築''
      課題番号: 23K08765, 期間: 2023.4-2026.3, 予算額: 300 千円, 代表者: 安藤 亮介 (名古屋市立大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(一般)(分担者) ``MaaSのラストマイル移動支援にむけた移動情報利活用基盤''
      課題番号: 22H03700, 期間: 2022.4-2026.3, 予算額: 3,200 千円, 代表者: 河合 由起子 (京都産業大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(一般)(分担者) ``和漢書テキストデータベースに対する知的情報検索システムの研究開発''
      課題番号: 22H03903, 期間: 2022.4-2026.3, 予算額: 2,000 千円, 代表者: 肖 川 (大阪大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(A)(一般)(分担者) ``ワークロード指向のグラフデータベースエンジンの研究開発''
      課題番号: 20H00583, 期間: 2020.4-2025.3, 予算額: 7,000 千円, 代表者: 鬼塚 真 (大阪大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(A)(一般)(分担者) ``Society5.0における社会課題解決に向けた利用者誘引型低遅延MaaS基盤''
      課題番号: 20H00584, 期間: 2020.4-2024.3, 予算額: 2,000 千円, 代表者: 下條 真司(大阪大学)
  • 日本学術振興会科学研究費 基盤研究(A)(一般)(分担者) ``戦略的社会サービスのためのリアルタイム型サイバーフィジカル時空間分析に関する研究''
      課題番号: 16H01722, 期間: 2016.4-2020.3, 予算額: 1,000 千円, 代表者: 石川 佳治 (名古屋大学)
  • 企業共同研究

  • 三菱電機株式会社 ``大規模データからの知識抽出およびモデル化'', 2019年度,2018年度
  • その他

  • 柏森財団研究助成 (共同研究者) ``人間を対象とする人工知能技術とアファーマ ティブアクション''
      予算額: 1,000 千円, 期間: 2022.10-2024.3, 代表者: 得能 想平 (大阪大学)
  • 大阪大学 次世代社会価値創造拠点事業 ``人工知能の公平性における人間的な側面からの調査と分析''
      予算額: 3,000 千円, 期間: 2023.7-2023.11, 代表者: 佐々木 勇和
  • 大阪大学大学院情報科学研究科スタートアッププログラム ``社会変遷とAIの公平性に関する調査''
      予算額: 1,000 千円, 期間: 2022.5-2023.3, 代表者: 佐々木 勇和
  • 大阪大学 若手研究者育成グラント ``顧客ニーズに適合した深層学習モデル構築技術の事業化''
      予算額: 9,479 千円, 期間: 2021.8-2022.3, 代表者: 佐々木 勇和
  • 大阪大学 戦略的パートナーシップと海外拠点のアライアンス化による教育研究の世界展開事業 ``Information Integration Platform for MaaS and Analysis of Urban Environmental Data''
      予算額: 2,080 千円, 期間: 2019.5-2021.3, 代表者: 佐々木 勇和